私立大学と国公立大学それぞれのメリット

勉強にまつわる話

早慶と地方有名国公立との比較や、私大と国公立大の一般的な受験方法、それぞれのメリットを考察していきます。

私大のメリット

教科を絞る

文系であれば 「英語」「国語」「社会」、理系であれば「英語」「数学」「理科」と、それぞれ3科目での受験が一般的です。(理系の早慶だと理科2科目必要です)

学習する科目を絞ることで、学習時間をその3科目に大きく割くことができます。地頭が良い生徒なんかだと、高2まで勉強をサボっていても、高3になって1年間3教科に絞って集中して勉強することで早慶の文系学部に合格することも珍しくありません。

チャレンジできる

国公立の場合は受験する機会が「前期」「中期」「後期」と3回しかありません。また、「中期」は実施している大学も少なく、「後期」は募集人数が少ないため難易度が上がります。つまり、基本的には「前期」の一発勝負になります。浪人をしたくない生徒の場合は模試の判定でいえば、A判定、悪くてもB判定の大学に受験することになるでしょう。

一方で、私大の場合は「好きなだけ」受験することができる(一校受験するのに3万〜3万5千円かかります)ため、D判定やE判定でもわずかな可能性に賭けて受験するケースも多いです。結果として、自分の学力よりも高い大学に入学することができることもありえます。

国公立大学のメリット

学業に対して真面目な生徒が多い

一般的にいえば、勉強に対して真面目な生徒が多いのが国公立大学の傾向です。私立大学が先に述べたように3科目での受験に対し、国公立の場合は大きな枠組みとして「共通試験」と「二次試験」の二つの試験を受け、その合計点で合否を判定します。

文系の場合、「共通試験」では「英語」「国語」「数学2科目」「社会2科目」「理科」「情報」の8科目。「二次試験」では「英語」「国語」「社会」「数学」のうち2〜3科目受験するというのが一般的です。

理系の場合、「共通試験」では「英語」「国語」「数学2科目」「社会」「理科2科目」「情報」の8科目。「二次試験」では「英語」「理科」「数学」のうち2〜3科目受験するというのが一般的です。

国公立大学の方が圧倒的に幅広い知識を受験生に要求するのです。これだけの科目数を1年や2年で習熟することは至難の業なので、高校3年間、あるいは中学1年生から6年間、コツコツと真面目に勉強してきた生徒が国公立に受かりやすいといえます。そのような学生とともに大学生活を送ることができるのです。

学費が安い

以下は4年間(医学部の場合は6年間)にかかる学費のおよその総額です。

私立国公立
文系400万250万
理系550万250万
医学部(6年間)3500万350万

医学部では10倍の開きがありますが、理系学部でも倍以上の差があります。子供が2人3人といる場合は、学費だけでも相当の差になるでしょう。

優秀な生徒が多い

有名な私大は東京に集中しているため、地方に住んでいて、東京の大学へ進学させたいと考えた場合、一人暮らしをする生活費+高い学費を支払うことになります。東京での生活費は地方よりも高い場合が多く、家賃の平均で6万というデータがあります。

以上のことから学業面で優秀でも、経済的に首都圏の大学に通わすのが難しい家庭も多いでしょう。そのような学力的に超優秀だが、経済的な理由で地元の国公立に進学する学生も一定数いると考えられます。

以上のように、学業面において真面目で、優秀な生徒が多く、そのような生徒たちと共に切磋琢磨できる環境が用意されているのが国公立の大きな強みだと思います。

早慶 VS 上位地方国公立

一般的によく比較されるのが早慶と旧帝大をはじめとする地方の上位国公立です。単純に偏差値で比較すると早慶と並ぶのが一橋大や東工大ですが、上記で述べたように科目数に圧倒的な差があるので入試の難易度は一橋や東工大の方が高く、社会的な評価も後者の方が高いです。

一方で、旧帝大をはじめとする地方上位の国公立大については早慶の方が社会的な評価が高いという人もいれば、そうでないという人もいる状態です。以下は私の見解を述べていきます。

早慶は就職が圧倒的に強い!?

早慶は就職に強いとよく言われ、就職先としても有名な企業がずらりと並びます。一方で地方の有名国公立の場合、全国的に有名な企業に就職する人もいますが、それ以上に地元の企業や公務員として働く人が多くなっており、出身大学別の年収ランキングでは早慶の下に位置する大学が多くなります

大学別年収ランキング

これをもって早慶の方が就職に有利とは簡単にはいえないと思います。

早慶は下駄を履いている?

早慶をはじめとする首都圏の私大の多くは付属の中高(場合によっては幼稚園から)を有しており、そういった場合、大学受験より難易度が高くなるのが一般的です。

中学校偏差値一覧

早稲田実業や慶應義塾の下に毎年何十人も東大合格者を出す、麻布や海城高校が位置しています。このような超優秀な学生が内部生として多く在籍しています。

また、全国的に活躍している体育会系もあり、そのようなルートで一流企業に就職する学生も一定数存在します。

そして、東大に落ちた生徒が滑り止めとして進学するケースもあります。

つまり、早慶の学生を構成するのは「内部進学生」+「スポーツエリート」+「東大一橋東工大を落ちた学生」+「一般受験の学生」となります。一般受験で、早慶が第一志望で受験する学生だけの進学先を集めたデータはどこにも存在しないのです。

地元愛の強い地方国公立

先にも述べたように、地方国公立大学を卒業後、地元の企業や地元の公務員として働く学生も非常に多く、そのような地元愛の強い学生が多いのも地方国公立の特徴といえます。

一方で、卒業後に全国的にあるいは国際的に活躍したいと思っている学生の数は早慶の学生に比べ少ないでしょう。このような学生がどういった企業に就職したかを表すデータも当然存在しません。

結局どちらか有利かはわからないが

全国的・国際的に活躍したいと考えている学生が、一般入試で早慶に進学した場合と地方国公立に進学した場合とを比べることができるデータは存在しないため、客観的にこの二つを比べることはできません。

しかし、上の「国公立のメリット」で述べたように、学業に専念し、優秀な学生と切磋琢磨し、その学生の力を最も引き出してくれるのは地方国公立の方だと考えます。

早慶の人気はいまだに高いのですが、表面的なメリットで判断せず、自分の進路について考えてください。

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